入社式後、雇用に関す説明と書類への記載があり、
それを終えると、配属先ごとに係の案内で別々の場所に向かった。
好哉には、配送部用のユニフォームが手渡された。
更衣室に案内され、着替えるように促された。
昼食や昼休憩をするような畳敷きの小上がりがあるロッカールームだ。
真新しいスーツを脱ぎ、ユニホームに着替える。
ワイシャツは着たまま、ユニフォームの上着を羽織った。
全員が着替え追えると、配送部に配属された同期たち全員と配送部のある倉庫に案内された。
20年以上は経過していそうな古びた倉庫
コンクリート打ちっぱなしの床
穴があいても保修されていない。
山積みの商品
暗い倉庫
電気が切れているところがある
荷物を上のフロアに運ぶためのエレベーターが
ヴォ~~ン!ギギギギギッ!と唸っている
チロリロリンッ♪という音楽が悲しげに響き渡る。
好哉の行く先には
暗雲が立ち込めているようだった。
一通り倉庫の見学が終わり、配送部員が事務所に集合したところで、新入社員の挨拶を行った。
「本日から配属された秋山 好哉です。早く仕事を覚えてみなさんの役に立てるよう頑張りますのでよろしくお願いします」
軽い拍手と新入社員たちがどんな人間なのか観察するような視線を感じつつ挨拶が終わった。
他の同期も挨拶していく。
目の前にはメッチャやんちゃな感じの先輩がチラホラ。
坊主頭に無精ヒゲで背が高く、黙っていても威圧感を感じる上岡さん
ゴツイ体格でチンピラ風の牟田(ムタ)さん
いかにもトラックのあんちゃん風の清水さん
物静かげな配達人風の清原さん
パートと思しき茶髪のお姉さん方(敬意を込めて♪)
様々な人生模様が見えてきた。
事務所での挨拶が終わると、世話係となる社員を紹介された。
最初は倉庫の荷役番の仕事である。
おじいちゃんのような風貌の平岡さんだ。
頑固そうだが、優しさのあるその雰囲気は、顔のシワの深さと目じりのシワのおかげだろう。
昔気質の職人タイプのように見え、少し警戒したが、あっけらかんとしたその気性は孫をみる本当のおじいちゃんのようであった。
倉庫の荷役番としての仕事は、平岡さんの後ろをカルガモのようについて歩き、出荷指示書に基づいて荷物を集めることから始まった。
平岡さんから指示を受け、積み上げられた商品から、指示された個数を取り出し、
集荷用のパレット(集荷用の台)に載せていく。
だんだんと倉庫が活気づいてきた。
見学や事務所での挨拶のときには気づかなかったのだ。
好哉が倉庫を見学したときは、朝の出荷ラッシュが終わった直後だったこともあり、閑散としていたのだ。
倉庫の忙しさには波があり、忙しくなってくると活気に溢れてくる。
そう、倉庫には活気があるのだ。
人の出入り
荷物の集荷
小売店への出荷のトラック
メーカーからの入荷のトラック
営業の人も営業用のバンの荷台に荷物を積み込んでいる。
緊急の配達があるようだ。
沢山の人達が働いていて活気があるのだ。
牟田さんと上岡さんが倉庫を仕切っていた。
怒号のような声が響き渡る。
出荷の荷物を配送コースを組み立てながら捌いていく牟呂さんと上岡さん
息がピッタリだ。
単に怒鳴っているかと思いきや、指示は適切だ。
ただ声が大きく、気性が荒いだけなのであろう。
集められた荷物を4tトラックの荷台に放り込みながら牟呂さんが配送先の指示を出すと、清水さんが適当な感じで「ヘェ~イ」と返事を返していく。
とてつもないスピードだ。
350ml24本入りのジュースのケースが何箱も空を飛んでいく。
近くにいる茶髪のお姉さんが笑顔で対応している。
きっと、牟呂さんは怖そうに見えるけど、頼りにされているのだろう。
そんな良好な関係が垣間見えた。
好哉は平岡さんから指示を受け、積み上げられた商品から、指示された個数を取り出し、集荷用のパレット(集荷用の台)に載せている。
慣れない作業に体は相当キツイ。
部活をやっていて体力には、それなりに自信があった好哉でも相当キツイ作業だった。
このまま、この仕事をやっていけるのか不安になる好哉だった。
次は
新卒社会人好哉!初めての配属先!これが社員教育!?
