新入社員の諜報活動

 

今日は珍しく食堂で昼食を取っている。

食堂と言っても厨房があるわけではない。

 

みんな弁当を持参したり、コンビニで弁当を買ってきて、ここで食べるのだ。

 

いつもはロッカールームの小上がりで昼休みを過ごしている好哉だが、今日は食堂にいるのだ。

 

おにぎりにカップラーメン

 

それが好哉のいつもの昼食だ。

 

ローカーロームは息抜き休憩や昼休みに利用されていて、昼休みを取っている人のほとんどが、似たような感じの昼食だ。

 

おにぎりとカップラーメンを食べ、30分程度の仮眠を取る。

ほとんどの人が、倉庫で働いている男性陣だ。

 

ザ・労働者という雰囲気を醸し出している。

 

 

しかし、今日の好哉は食堂にいる。

同期と一緒に昼食を取っているのだ。

 

他の部署に務める同期から、話を聞く。同期の情報交換だ。

 

配送・経理・販売支援・システム・営業

外に出ていて集まれない同期もいる。配送や営業の同期だ。

 

そこには、後に工藤 孝光と結婚することになる西山 香もいた。

商業高校出身で、経理に配属されている。

 

目鼻立ちがスッキリした綺麗系の美人である。

 

受付の女性もキレイだが、彼女の方は可愛らしいという表現の方が良く似合う。

年上ではあるが、可愛らしいのだ。

 

一方、香は、「綺麗」という言葉が実に良く似合う。

 

この会社って顔で選んでるのかってぐらい、各年代に美人がいるな、と好哉は思っている。

人柄が良く、優秀であることに気づくのは、もっと後になってからである。

 

工藤 孝光も同期だ。この時は、配達中で外に出ている。

彼は、同期の中では抜群にイケメンだ。

身長は175cmを少し超え、細身で顔立ちは少し堀が深く、好青年な印象を受ける。

ジャニーズのようなその風貌から、昔からイケメンと言われることに慣れているような感じだ。

声までイケメンだ!

 

今日集まった同期のメンバー

さすがに食堂なので、上司や先輩との人間関係に関することは控えながら、自分はどういう仕事をしているか、それぞれ話あった。

オープンな諜報活動だ。

中には、既に辞めたいというネガティブな同期もいたが、ほとんどが初めて聞く他部署の話だ。

 

職人の家に生まれ育った好哉にとっては新鮮な話であった。

 

好哉の感覚では、働きに行き、1日働いたら、1日分の人工(賃金)が貰える。

それが、好哉の感覚である。

 

例えば、

1日働いたから、1万5千円貰える。

その貰う1万5千円がどのように決まっているかなど意識したことがない。

働いたら、決められた額を貰うという感覚だけなのだ。

 

お金がどのように動いているかという経済活動の流れなど意識したことがない。

 

職人である好哉の親は、好哉を自由にさせていた。

高校や就職先を選ぶ時も、その前からの人生の歩み方についても、

学校での勉強についても、部活についても、何一つ好哉に口出しすることは無かった。

 

ましてや、社会での生活や会社員の給料の話など、したことが無かった。

 

全てを自分の判断で決めてきた好哉だが、どれほど自分が無知だったかと、後に当時を振り返っても思う。

 

 

ただ、だからと言って、過去を否定することはない。

 

自分は自分なのである。

 

そんな自分があったからこそ、今の自分があるのである。

 

 

そのときの自分を無くすことなどできない。

 

 

自分には、その時間(経過)が必要だったのだ。

 

次は

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